[インターネット放送局くりらじ] [パーソナリティ:おびお]
科学情報番組「Mowton」は2003年より「ヴォイニッチの科学書」としてリニューアルスタートしました。

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幽体離脱を誘導することに成功
61
青色発光ダイオードの中村修二先生の講演報告
60
反水素の生成と検出に成功
  

第63回放送 2002年11月11日
「冷たさ、暖かさ、熱さを感じる身体の部品」 
現代科学 2002年7月号 より

 私たちが熱さや冷たさを感じる仕組みは、温度に反応する部品が皮膚や舌など全身に存在していて、熱いもの、冷たいものに触れたときにその部品が反応し神経を通じて脳に情報を伝えることによっています。

 温度を感じる部品についての研究は近年急速に進展し、「冷たい」「暖かい」「熱い」「とても熱い」と温度帯ごとに異なる部品が用意されていることがわかりました。「冷たい」は8度から28度、温かいは33度から35度、「熱い」は43度、「とても熱い」は52度で反応します。それぞれの温度帯は人間が生きていくうえでキーポイントとなっている温度、すなわち「体温が奪われて危険」「快適」「生存できる上限」「生命に危険が及ぶ」温度に対応しています。

 ところで、七味を入れたうどんを食べると、七味を入れていないものよりも辛く感じると同時に熱く感じます。七味の主成分である「カプサイシン」が「熱い」を感じる部品を刺激することが可能であることがわかり、このことが七味を入れたうどんと入れていないうどんの温度が同じであるにもかかわらず、前者のほうが熱く感じる理由です。

 このほかミントの主成分の「メントール」が「冷たい」を感じる部品を刺激することもわかっており、このことを利用した「冷たいキャンディー」などが近年製品化されています。

■今週のオープニングトーク「日本人の目は旧石器時代以降だんだんたれてきた」
今週のキーワード

温度を感じる部品・・・熱さを感じるのはカプサイシン受容体 VR1、冷たさを感じるのはメントール受容体 CMR1。どちらも6回膜貫通型タンパク質でイオンチャンネルの機能を持っています。第5、第6膜貫通ドメインがイオンチャンネルを形成し、暑さ、冷たさに応じてカルシウムイオンを細胞内に取り込みレスポンスします。

インフルエンザの全身痛とVR1・・・ATPやブラジキニンなどの炎症関連メディエーターはVR1をリン酸化して VR1の活性化温度を体温以下に下げることが発見されました。すなわち、自分自身の体温でさえ VR1を刺激する疼痛原因物質となってしまうわけです。