[インターネット放送局くりらじ] [パーソナリティ:おびお]
科学情報番組「Mowton」は2003年より「ヴォイニッチの科学書」としてリニューアルスタートしました。

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タマネギの催涙成分をノックアウトできるかも
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冷たさ、暖かさ、熱さを感じる身体
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幽体離脱を誘導することに成功
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青色発光ダイオードの中村修二先生の講演報告
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反水素の生成と検出に成功
  

第65回放送 2002年12月2日
「獲得形質は遺伝子変異を伴わずに子孫に影響する」 
Europian Journal of Human Geneticsより

 私たち人間を含むあらゆる生物が経験によって得た知識、技術、肉体的特長は獲得形質と呼ばれ遺伝することはありえないというのが進化を科学する場における常識となっています。

 今回スウェーデンの研究者らは1900年前後に生まれた男性(祖父)が思春期にどのような食生活を送っていたかを調査し、その孫の現在の健康状態との関連付けを行いました。

 その結果、祖父が十分な食事を取っていた場合は、孫の糖尿病による死亡率が4倍にもなり、逆に、祖父が十分な栄養をとっていなかった場合は孫たちは心臓病になる確立が低いということがわかりました。

 祖父の食物摂取量が孫の健康に影響を与えるという結論はいささかの飛躍があるようではありますが、現象論的には非常に正しいといえそうです。

 この研究をきっかけにして、獲得形質は遺伝する、ただし、遺伝子が変異する必要は無い・・・という考え方が生まれてくるかもしれません。


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今週のキーワード

獲得形質・・・生後に環境の影響や訓練、経験によって得た特徴

ラマルク説・・・生物の進化は経験によって獲得できるという考え方。現在の生命科学の世界では禁句となっており、「獲得形質」という単語を口にした瞬間から科学者としての扱いを受けることができなくなる呪文

 ただ、常識的に考えると、私たちの経験がいちいち遺伝子に転写されていたら現代人の遺伝子は千差万別のものになっていたはずで、太郎君も花子さんも似たような人間の遺伝子を持っているということは、獲得形質は遺伝子には書き込まれていないようです。