インターネット科学情報番組



科学コミュニケーター 中西貴之
アシスタント BJ

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[最近の放送]>>バックナンバー  
Chapter-51 ビールに放射線防護作用が  
Chapter-50 2004年ノーベル賞 自然科学分野 
Chapter-49 恐竜に関する最新情報  
Chapter-48 宇宙旅行がまた一歩近づいた  

■2005年春の花粉量は2004年の10〜20倍
 NPO花粉情報協会が開催した「2005年スギ花粉飛散予測セミナー」において、2004年夏の猛暑の影響で2005年春には、スギやヒノキの花粉が2004年比で10〜20倍も多く飛ぶという予測が出されました。
 しかし、今年は花粉の飛散量が少なかったため、例年に比べると2〜3倍となります。
 杉花粉は夏の日照時間が長ければ長いほど、雨が少なければ少ないほど翌年春に大量飛散します。悲惨の時期は西日本で2月上旬、その後約一ヶ月をかけて日本を縦断すると思われます。
>>花粉情報協会  



Chapter-52 
2004年12月11日 シリーズ人工衛星

今週の放送を聴くダウンロードする次回の放送

超高速インターネット衛星 WINDS

WINDS = Wideband Inter Networking engineering test and Demonstration Satellite

 WINDSはJAXA宇宙航空研究開発機構と独立行政法人情報通信研究機構が共同で開発を進めている人工衛星で、2005年度に国産H-IIAロケットによって打ち上げられる予定です。地上に通信基地を作ることなく高速な情報のやりとりを可能にし、日常はもちろん、災害時においてさえいつでも、どこでも高速通信のサービスを受けることができる社会の実現に必要な技術の開発、実証を目的とした人工衛星です。この人工衛星の成功によって高速インターネット網が行き届いていない地域のデジタルデバイド解消、遠隔医療、離れた地点間の学校・研究者の交流を可能にする学術教育分野での応用など、データ通信のより有効な使用が現実のものとなります。

 WINDSは太陽電池パドルも含めた全長は21.5m、初期重量は2.7tもある大型の衛星です。東経143度、東経で言えば北海道の帯広と同じあたりの静止軌道上に打ち上げられ、設計寿命は5年です。

主な装備

マルチポートアンプ
 8入力8出力を持つ増幅器で、最低時5200Wの出力を持つ太陽電池パネルで得た電力を8つのチャンネルそれぞれに柔軟に分配し出力を変更することができますので、地域ごとの降雨状況に対応した出力にリアルタイムに可変することができ、全国で天候などに影響されにくい良質な通信を確保することができます。参考までに従来の通信衛星では非常に広い範囲を一括してサービスエリアとし、そこに対し同じ出力で送信していましたので、天気の良い地域には過剰な電力配分となり、天気の悪い地域では電力が不足すると言うことになっていました。WINDSでは情報配信・回線設定を狭い地域ごとに個別に設定することができますので、たとえば大阪で大雨、東京で快晴ならば、東京への出力を絞り、余剰となった電力を大阪に振り分ける、といったことが可能となります。

アクティブフェーズドアレイアンテナ
 送信受信電波の方向を高速で変更できますのでアジア、太平洋地域など地球のほぼ半分の地域からの通信が可能となる上に、カバーエリアの末端付近でも45cmのアンテナでの通信が可能です。従来型衛星ではカバーエリアの末端に近づくほど大型のアンテナが必要でした。

衛星搭載型スイッチングルーター
 155Mbpsを3チャンネル装備しています。

 これらの技術を使って、例えば家庭に直径45cmのパラボラアンテナを設置した場合、下り155Mbs、上り1.5〜6Mbsのデータ通信が可能となります。また、企業などで直径5m級のアンテナを設置すれば1.2Gbpsの双方向通信を確保することができます。従来の通信衛星では、1.5Mbpsで通信を行うためには1.2m以上のパラボラアンテナが必要でしたので、今回、CS放送と同じ大きさのアンテナで通信が可能となることは大きな進歩です。

 WINDSは現在、地上での各種耐久性試験や性能試験を行っています。