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科学コミュニケーター 中西貴之(メール
アシスタント BJ

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 先週は
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[バックナンバー]
   
Chapter-158 雷 
Chapter-157 サイエンスニュースフラッシュ 2007年4月
Chapter-156 開花を指令するホルモンをついに捕まえた
Chapter-155 1000mg含まれているアレ 
Chapter-154 サイエンスニュースフラッシュ 2007年3月 
Chapter-153 マイクロバブル 
Chapter-152 アストロバイオロジー 
Chapter-151 海の生き物の毒 
Chapter-150 黄砂が気候に与える影響 
Chapter-149 バイオエタノール燃料 
Chapter-148 食べ物に対して「やみつき」が起きる仕組みと別腹
Chapter-147 万能科学者西村真琴と學天則
Chapter-146 サイエンスニュースフラッシュ 2007年1月号 
Chapter-145 家畜に悪影響を及ぼすカビ由来毒素を分解する遺伝子組み換えトウモロコシを作った・ルナーA中止 
Chapter-144 乳児の言語獲得に新たな学説
Chapter-143 宇宙の暗黒物質の空間分布を初めて測定
Chapter-142 銀河の中心にある巨大ブラックホールの正体
Chapter-141 生命体の細胞内部の構造を保つ新たな仕組みを発見
Chapter-140 サイエンスニュースフラッシュ 2006年12月 
Chapter-139 「ひので」搭載可視光・磁場望遠鏡の初期成果
Chapter-138 サイエンスニュースフラッシュ 2006年11月 
Chapter-137 宇宙日傘 
Chapter-136 ヴォイニッチの科学書流「クマムシ!?」 
Chapter-135 サイエンスニュースフラッシュ 
Chapter-134 DNAの分解異常による関節リウマチ発症 
Chapter-133 脳の機能・太陽系外惑星 
Chapter-132 ノーベル物理学賞 
Chapter-131 サイエンスニュースフラッシュ 
Chapter-130 RNAi 


>> 「Mowton(放送終了)」はこちら

[この番組の担当は・・・]

ナビゲーター 中西貴之 obio@c-radio.net
 1965年生まれ
 応用微生物学専攻
 現在化学メーカーの研究所勤務
 所属学会 日本質量分析学会 他
 日本科学技術ジャーナリスト会議会員

ナビゲーター BJ
 インターネット放送局くりらじ局長

Chapter-159 深海底熱水活動域微生物

今回の放送を聴く | まぐろぐヴォイニッチ

2007年5月26日 (前回の放送次回の放送

 地下600メートルにもなる油田の中に微生物が生息していることは1920年代頃の研究でわかっていました。しかし、この時代の微生物研究は未熟でしたのでそれらの微生物が地上に取り出してから混入してしまったものだと異論を唱える研究者も多くいました。

 1970年代になると研究手法も洗練され、地下50メートル程度の井戸からくみ上げられた水の中に生息する微生物の研究が行われるようになり、地下水中には様々な微生物が生息していることがはっきりしてきました。けれど、当時の微生物の研究手法は地下からとりだした微生物を人間が考え出した栄養分の中で生育させ、増殖した微生物を調べるという研究手法でしたので、本当に地下深くの地下水中という特殊な環境でしか生きることができない微生物はすべて死滅してしまって、調べることができなかったのではないかと考えられます。

 1990年代になると遺伝子を使って微生物を飼育せずに研究する手法が普及しました。つまり、地底の微生物をとりだして死んでしまっても、その遺伝子は残骸として残りますので、地下からくみ上げた水の中に含まれる遺伝子を片っ端から調べることによって、その中にどのような微生物が生息していたのかを推定するという方法です。このような方法により、これまで生物など存在しないだろうと思われていた地中深くに広大な微生物生息圏があることがほぼ確実となりました。

 一方、1977年に数百度の熱湯を海底の小さな穴から吹き上げている熱水噴出口と呼ばれる海底の地形がそこに生息する奇妙な生物群集と共に発見されました。ここに住む微生物は太陽の光を必要とせず、300度を超える熱湯の中でも生き残り、110度を超える水温で活発に増殖するそれまでに誰も見たことのないような性質の微生物でした。

 また、熱水噴出口周辺の土壌が熱水噴出口から吹き出したように見える核酸や脂肪酸などで汚れていたことや、海底熱水噴出口周辺で海底火山の噴火が起きるとその周辺に膨大な量の熱さに強い微生物がまき散らされることなどが発見され、熱水噴出口周辺に生息しているのが発見された微生物はその下に広がる微生物圏から噴き出す熱水に乗って海底に運び出されたのではないかと考えられるようになりました。

 さらに、2001年にはインド洋で初めての深海底熱水活動域が発見されました。ここに生息している微生物がどのようなものかを調べたところ、非常に高い温度を好みメタンを作る能力のある細菌が熱水と共に噴出しているらしいことがわかりました。熱水噴出口付近の地下にはメタンを利用して生育する生物群の生態系が存在していることが明らかとなり、英語表記の頭文字をとって、ハイパースライムと名付けられました。


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