Chapter-16
ニッポニアニッポン ・ トキ
2003年10月10日、佐渡トキ保護センターで日本産最後のトキ「キン」が死亡していているのが発見されました。死因は飼育ケージ内で飛翔した際にケージに衝突した事による頭部挫傷と思われます。これで日本産のトキはついに絶滅してしまいました。現在佐渡トキ保護センターで飼育されているときはすべて中国産です。
トキは学名を Nipponia nippon と名付けられていることからわかるように日本を代表する鳥類で江戸時代までは日本各地で生息していましたが、1981年に佐渡島で捕獲されたのを最後に野生のときは日本から姿を消しました。
トキは全体的に白色ですが、羽の一部は「トキ色」とよばれる独特の淡い紅色をしています。この色はトキの顔や足の赤い色素によって水浴びなどの際に自然に染められたものです。
トキはドジョウや小魚を食べますが、田んぼに入ってこれらのエサを探すために稲を踏み荒らしてしまうことから農家にとっては害鳥で明治時代に狩猟が解禁されたことをきっかけにして多くが農民によって撃ち殺されてしまいました。また、美しい羽を目的とした狩猟や、農薬散布によるエサの現象などもトキの個体数の減少に拍車をかけました。
現在は日本産と種的に同一であると思われる中国産のトキを繁殖し、自然に帰す研究が精力的に行われています。
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