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 このページはインターネット放送局くりらじが毎週放送している科学情報ラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」の公式サイトです。
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Chapter-19
 結核治療薬が高所恐怖症治療に有効 [聴くMP3をDL

Chapter-18
 新聞ニュース斜め読み [聴くMP3をDL

Chapter-17
 数を数える仕組みは男女で異なる [聴くMP3をDL

Chapter-16
 ニッポニアニッポン・トキ [聴くMP3をDL

Chapter-15
 数を数える仕組みは男女で異なる [聴くMP3をDL

Chapter-13
 あくびは親切な人にうつる [聴くMP3をDL

Chapter-12
 試験のストレスでニキビは悪化する [聴くMP3をDL

Chapter-11
 朝型人間・夜型人間は遺伝子で決まる [聴くMP3をDL] 

Chapter-10
 ウィルヘルム・レントゲンがX線を発見 [聴くMP3をDL] 

Chapter-9
 Kids:夏休みの自由研究はブラインシュリンプはいかが? [聴くMP3をDL] 

Chapter-8
 クローン人間は作れない [聴くMP3をDL] 

Chapter-7 男性の脇の下のにおいで女性はリラックスする? [聴くMP3をDL]  

Chapter-6
 早川徳次・日本の地下鉄の祖 [聴くMP3をDL] 

Chapter-5
 Kids:夏服は何故白い? [聴くMP3をDL] 

Chapter-4
 早期老化遺伝子が見つかった [聴くMP3をDL] 

Chapter-3
 サイエンスニュースフラッシュ [聴くMP3をDL] 

Chapter-2
 高柳健次郎・全電子式テレビの開発 [聴くMP3をDL] 

Chapter-1
宇宙の起源へ挑む [聴くMP3をDL] 

Chapter-19
2003年11月30日

結核の薬が高所恐怖症治療を手助け

 「自分は高所恐怖症だ」と自覚している人は多いと思いますが、たとえば高架橋を車を運転して通過することが出来なかったり、エレベーターに乗ることが出来なかったりという重傷な高所恐怖症は医師による治療が必要です。

 高所恐怖症の治療方法は高い場所という環境に少しずつ慣れさせることがその基本であり、多くは山などの高所で実施されるためにアメリカでは、毎週1回の治療を4ヶ月続けるとその費用は35万円程度にもなります。

 結核治療薬である「D-サイクロセリン」は、結核菌の細胞壁を合成する作用を阻害する治療薬ですが、高所恐怖症治療の前にこのD-サイクロセリンを飲むことによってその効果が数倍にまで高められることがアメリカ神経科学界で報告されました。

 30人の患者を対象にして、透明のエレベーターで昇降を繰り返すバーチャル体験を与える治療を実施する際に、ある一群にはD-サイクロセリンをあらかじめ投与し、投与していない群との治療効果を比較しました。2回の治療の結果、D-サイクロセリンを投与されずにこの高所恐怖症治療を受けた人たちの恐怖レベルの低下は10%程度でした。一方、治療前にD-サイクロセリンを処方された人たちは不安レベルが50%も低下しました。

 D-サイクロセリンは脳内の刺激を受け取るタンパク質の機能を高める働きがあります。このタンパク質を破壊されたラットは過去に体験した恐怖を克服できなくなることがわかっており、D-サイクロセリンがこのタンパク質の機能を高めることによって恐怖体験を克服しやすくしているのだと推定されます。

 今後、D-サイクロセリンを使うことによって人前で話すことに恐怖を感じる治療に用いることが出来るかどうかが検討されることになっているそうです。

今週の人工衛星 第3回
民生部品・コンポーネント実証衛星 「つばさ」

 「つばさ」は2002年2月4日にH-IIAロケット試験機2号機で打ち上げられました。
 宇宙空間で使用される部品や材料は非常に過酷な環境にさらされます。このような部品の開発は非常にリスクの大きな事業であるために、実際の衛星に部品を装着して宇宙空間にさらすことによってその部品の機能を評価することを目的とした衛星です。
 宇宙の環境に耐えられる民生部品を宇宙開発に採用することによって、プロジェクトのスピードアップやコスト削減、機器の小型軽量化などが期待されます。
 また、部品の試験ばかりでなく、「つばさ」の企画、打ち上げ、運営に関して、そのプロセスや組織を最適化する研究も行われ、それまで7〜8年を要していた衛星開発が「つばさ」においてはわずか3年に短縮されました。