サイエンスニュースフラッシュ　《ヴォイニッチの科学書》

Chapter-20
2003年12月06日

サラマンダーはパートナーの浮気を許さない

　サラマンダーはしっぽのある両生類で、サンショウウオといえばわかりやすいかと思います。サラマンダーの仲間で有名なのは「メキシコサラマンダー」で、通称は「アホロートル」、「ウーパールーパー」というのは商品名でテレビCMの人気者になっています。

　このサラマンダーのうち、セアカサラマンダーと呼ばれる種類は両生類の中ではきわめて希な一夫一婦制を営んでいます。

　米国ルイジアナ大学の研究チームが学術雑誌に発表した論文によるとセアカサラマンダーはパートナーが「浮気」をして戻ってくると、浮気をしていないセアカサラマンダーが浮気をしたパートナーを激しく攻撃することがわかったとのことです。

　実験では、雄のセアカサラマンダーをパートナーとは別の雌とともに過ごさせた後に、本来のパートナーの元に戻した場合、雌のサラマンダーはどういう行動を取るかを調べました。その結果、ただ引き離されていただけで他の雌とは接触していない雄を雌の元に戻しても雌は何もせず、雌とともに過ごさせたパートナーではない雄を雌に近づけてもやはり攻撃をしませんでした。パートナーの雄に雌を接触させた場合にのみ相手を攻撃したことから明らかに一夫一婦制との関係が見いだされたとのことです。

　雄のセアカサラマンダーは子育てを手伝いませんので、一夫一婦制を取っている理由は不明ですが、雌同士の縄張り争いをさける点に於いて何か意味がありそうです。

今週の人工衛星　第4回
熱帯降雨観測衛星　「TRMM」

　「TRMM」は「Tropical Rainfall Measuring Mission」の略です。

　雨は私たちが生きていく上で欠くことの出来ないものですが、場合によっては大災害を引き起こし私たちの命を脅かすこともあります。このように生き物の生活と密接に結びついた雨ですが、地球全体において、その2/3は熱帯地方に降ることが知られています。

　熱帯地方の降雨情報を得ることは地球全体の気象や災害を把握するために必要なことですが、地上の観測点がほとんど設置されていないため、これまでその実態は良く把握されていませんでした。

　1997年に種子島宇宙センターから打ち上げられた「TRMM」は、そんな熱帯地方の降雨状況を宇宙から観測するための人工衛星です。地上に観測点が無くても宇宙から見れば熱帯地方の降雨状況は一目瞭然です。

　TRMMは日米共同プロジェクトですが、最も重要な観測機器である降雨レーダーは日本製で、降雨状況を地表からの高度の情報と会わせて立体的に把握することが出来るこれまでに類のない画期的な観測装置です。
　　　　