Science-Podcast.jp
制作
このページはインターネット放送局くりらじが毎週放送している科学情報ネットラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」の公式サイトです。放送内容の要旨や補足事項、訂正事項などを掲載しています。 [バックナンバー] [この番組の担当は・・・] |
2007年8月4日 生前の意思に基づいて死後脳を収集・保存し医学の研究に役立てようとする施設をブレインバンクと呼び、民間の巨大病院や研究施設ではすでに脳標本の収集が始まっています。しかし、今のところ公的施設はなく、診断や研究利用に関する統一基準もないため、現在日本神経病理学会において死後脳の取り扱い基準と診断基準について論議がすすめられています。欧米においては1960年代から大学や公立病院にブレインバンクが設立され、アルツハイマー病などの患者の脳標本などが蓄積され、研究に活用されてきました。 日本においても、多くの研究者が情報を利用できる公的なブレインバンク設立の動きがあります。現在考えられている日本の制度の目的は神経疾患のメカニズムの解明と治療薬の開発ですが、試料収集は専門のコーディネーターの介在による生前登録同意方式です。このため、日本においては同意能力のある20歳以上の健康な人や、パーキンソン病などの意思表示のできる患者が対象となります。アメリカなどでは収集が行われている重度のアルツハイマー病患者のように日常生活において自主的な行動が困難な患者などは対象から除外されており、これら重度な神経疾患の研究を推進するためにはさらに取り扱い基準などの検討が必要であると思われます。 参考資料 Medical Tribune 2007年7月5日号 クヤR291型燃料電池電車のテクノロジー 交通機関の次世代の動力源として注目を集めているのが燃料電池です。燃料電池はエネルギー効率が高く、静かで、排気ガスも水蒸気のみと非常に優れています。 燃料電池は水の電気分解の逆反応で電気を生み出します。燃料となる酸素と水素のうち、酸素は空気中の酸素を取り込んで使用しますが、水素は大気圧の300倍の高圧でボンベに封入して積載しています。 鉄道総研で開発された燃料電池電車は形式クヤR291型で1両編成、18.75kWの燃料電池を8基搭載し、電圧は900V。燃料電池の総重量は1.65トン。1両編成の2軸ボギー車で片方の台車に出力95kWのモーター2台を搭載し、それぞれの車軸を駆動します。研究施設の中でしか走行実験は行われていませんが、燃料電池のみでの走行が可能です。 今後解決すべき問題点としては燃料電池のコスト削減、大容量化、小型軽量化、水素タンクの大容量化、燃料電池ユニットの寒冷地対策などがあります。また、水素を安価に供給する環境の整備も必要です。よりいっそうエネルギー効率を高めるためのブレーキのエネルギーを電気として回収するシステムやそれに必要な二次電池の搭載の検討なども今後の課題です。 今後の課題はまだまだ多いとしても、燃料電池のみで走行できる電車の開発に成功したことそのものの技術的価値は非常に高く、現在の気動車と遜色ない性能を持ちながら地球環境への不可の小さな燃料電池電車の誕生も見えてきたと言えます。 参考資料 IEEJジャーナル(電気学会誌) 2007年127巻7号 ※詳細資料はまぐまぐプレミアムで配布中です。 [他局の科学番組] □ディスカバリーチャンネル |