2011年5月21日 Gravity Probe Bには恒星の方向を測る光学機器「スター・トラッカー」が搭載されていますが、この装置をペガスス座の連星「IMペガシ(IM
Pegasi)」に向け続ける実験が行われました。もし、宇宙が静止した平坦な世界であるなら、つまり、重力による時空のゆがみやフレーム・ドラッギングが発生しない世界なら、ジャイロスコープはIMペガシに対して永遠に傾かないはずです。一方、アインシュタインの理論が正しければ、ジャイロスコープの回転軸の方向は、地球の質量と自転の影響で徐々に変化することになります。研究チームはデータを綿密に調べ、ジャイロスコープの角度が1年間に約6600ミリ秒角(約0.0018度)ずれていることを発見しました。このような精度の観測はGravity
Probe Bが開発されるまでは不可能だったレベルです。この数値自体はアインシュタインも計算から得ていましたが、あまりに小さな変化なので、アインシュタイン自身は測定は不能で検証できないと考えていたほどです。1953年の著書『The
Meaning of Relativity』(邦題:『相対論の意味』)には「フレーム・ドラッギング効果は理論上存在するが、その規模は小さすぎるため実験室では確認できない」と述べています。
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