Science-Podcast.jp
制作
このページはインターネット放送局くりらじが毎週放送している科学情報ネットラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」の公式サイトです。放送内容の要旨や補足事項、訂正事項などを掲載しています。 [バックナンバー] [この番組の担当は・・・] |
2007年 8月16日は日本各地で気温が上昇し、気象庁によると岐阜県多治見市と埼玉県熊谷市で40.9度とこれまでの国内最高気温を74年ぶりに更新しました。ちなみにこれまでの最高気温は1933年7月25日に山形市で観測された40.8度でした。 その前日は北極の氷が最小に 一方、北極も今年は氷の溶ける暑い夏となり、日本が最高気温記録を更新したその前日の2007年8月15日に北極海の氷の面積が史上最小になりました。北極の氷の減少は地球温暖化に関するコンピューターシミュレーションで予測済みの問題でしたが、今回の減少はこれまでの予測を大幅に上回る速度で起きています。このことは地球温暖化の影響を予測するモデルが十分ではないことを示唆しています。 そんな暑い夏には葛飾北斎エフェクト 電気的にガラスの透過度や色を変化させることによって外部から入ってくる光を調節できるガラスを調光ガラスといいます。産業技術総合研究所を中心とする研究チームは葛飾北斎も使っていたプルシアンブルーが電流によって色が変わる性質を持つことに着目し、プルシアンブルーを二層のガラスの間に挟んだ調光ガラスの研究を行っています。産業技術総合研究所ではカーテンのようにカラフルな調光ガラスを組み込んだ窓や、使用しないときは絵画を表示できる鏡などを提案しています。葛飾北斎のプルシアンブルーが安価な調光ガラスとして私たちの身近に登場するかもしれません。 細胞が作るゴミ袋は大切だ 細胞の新陳代謝によって細胞内には不要になったタンパク質などが生じますが、これらは細胞内に形成された「ゴミ袋」の中で分解処分されます。これまでメカニズムが解明されていなかったゴミ袋形成の仕組みが明らかになったと報告されました。パーキンソン病やハンチントン病などの原因となる異常なタンパク質もこの「ゴミ袋」を使って分解されることがわかっていますので、今回の成果がこれら病気の予防法や治療法の開発につながることが期待されます。 直感の解明に挑む 小脳は一般には運動を司る脳だとされていますが、「小脳仮説」によれば小脳は運動だけではなく、ものを考える際にも重要な役割を果たしているとされています。そこで、プロ棋士が将棋を行っているときの小脳の思考活動をfMRIで測定し、人間の直感と脳の関係を明らかにする研究に日本の研究チームが着手しました。この研究によって小脳の神経回路の情報処理的な仕組みが解明されるかもしれません。 「かぐや」打ち上げ日程決定 JAXA宇宙航空研究開発機構は、部品交換のため延期していた月周回衛星「かぐや」(SELENE)の打ち上げを、2007年9月13日午前10時35分に行うと発表しました。「かぐや」はアポロ計画以来の月探査計画となります。現在、欧米、インド、中国などでも本格的な月探査が計画されており「かぐや」はその先陣を切るもので、各国の研究者たちも得られるデータに大きな期待を持っています。 「はやぶさ」順調に飛行中 また、小惑星イトカワへ着陸後、地球へ帰還中の「はやぶさ」はいまのところ順調に飛行を続けているようです。 「フェニックス」打ち上げ成功 また、2007年8月4日、火星への着陸を目指すアメリカNASAの探査機「フェニックス」が打ち上げられました。2008年5月25日に火星の北極付近に着陸する予定です。フェニックスは着陸後、ロボットアームで地面を掘り、地表近くに存在すると期待されている水の氷を採取し、微生物の存在を調べる他、探査機に積まれた装置で氷を暖め、氷に含まれている成分をチェックすることになっています。 太陽が4つの世界 NASAの赤外線天文衛星スピッツァーが4つの恒星を持つ惑星系を発見した可能性があります。これまで、2個の恒星の周りを回る惑星系らしいものは発見されていますが、4個の恒星を持つ惑星系は非常に珍しい存在です。 ※番組時間内にご紹介できなかったより詳しい解説と、その他の最新科学情報は有料メールマガジンまぐまぐプレミアムで配布中です。 [他局の科学番組] □ディスカバリーチャンネル |