サイエンスアゴラ2007でお会いしましょう
2007年11月24日土曜日13時〜15時
東京国際交流館(お台場)メディアホール
イベント
「ポッドキャストによる科学情報配信とライブヴォイニッチ」
(正式名称:携帯音楽プレーヤーを使用した科学情報配信の実践報告)
を開催します。
・伝説のくりらじ紹介テレビ番組「ムーブ2005」上映(予定)
・下関市立図書館で好評開催中の「ライブヴォイニッチ」東京出張版
・ポッドキャストを用いた科学情報配信の現状報告
くりらじオリジナル来場者プレゼントも用意して皆様のお越しをお待ちしております。 |
2007年9月15日
Chapter-173 塗り絵は脳を活性化させるか?
(前回の放送|次回の放送)
私たちの寿命が延びることによって、歳を取っても脳の働きを健康に保つことが重要となっていますが、大人向けの塗り絵が脳の活動を高め、ストレスからの解放や脳の病気の治療に役立つのではないかと最近注目を集めています。
ストレスを感じている人に塗り絵をしてもらい、その後に脳波を測定したところ脳のリラックス度を示すアルファー波が脳の広い範囲から出ていることがわかりました。さらに、塗り絵をするために必要な様々な行動によって、脳の異なる部分が刺激されます。たとえば、
・原画と下絵を見比べるときに視覚を司る後頭葉が活動します
・原画の色を覚えたり、過去の経験の中から活用できる情報を呼び出するのは側頭葉
・色の塗り方や全体のバランスを考えるのは頭頂葉の役目です
・色を塗る手順を考えたり、完成への意欲付けをするのは前頭葉
・手を動かすのは運動野です
また、塗り絵の特徴として完成した状態が見えているという点があります。脳の中で情報を伝達する物質の一種にドーパミンがあります。仕上がりが予想できる作業に取り組む場合と、先の見えない作業に取り組む場合の二通りでドーパミンの分泌量を比較したところ、仕上がりが予想できる作業に取り組む方がドーパミンの分泌量が多いことがわかりました。そのため、色塗りにおいても真っ白な紙に自分でデザインを考えるよりあらかじめできあがりの線が描かれた塗り絵に着色することによって完成させるという作業に取り組む方がより脳の伝達物質の分泌を促進する可能性があります。
近赤外線スペクトロスコピーという装置を使うと、脳の活動状況を外部から観察することができます。塗り絵をしている人の脳をこの装置で調べたところ、酸化ヘモグロビン濃度が上昇していることがわかりました。このことは、脳が活発に機能し、酸素を多く消費していることを意味しています。一方で、文章の黙読やコンピューターの指示に従ってキーを押すゲームでは酸素の消費量が増加しなかったことから、塗り絵はこれらの作業よりも脳の活動度を高めることがわかりました。
ただし、今の時点では塗り絵が認知症の予防や治療に効果があり、患者の治療に有効であると科学的に言える臨床研究結果はまとまっていません。けれど、これまでお話ししたとおり、神経細胞の出す電流や神経伝達物質の測定結果は脳の機能が活性化していることを示していますので、今後大人の塗り絵に関する臨床的研究が進めることによって、治療方法として定着することが期待されます。
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今週号の目次
・祝・月周回衛星「かぐや」打ち上げ成功
・Chapter-173 塗り絵は脳を活性化させるか?
・最新科学おもしろ雑学帖アップデート
・オスのチンパンジーは異性にプレゼントを贈る
・においに関する研究がまた進展した
・短期連載・細菌コラム (1)
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