2011年6月4日 QGPをサイコロ程度の大きさに固めると重さが400億トンもあります。また、温度は太陽内部の10万倍以上の高温です。このような性質は、現在の宇宙で最も高密度な天体である中性子星よりもさらに高密度だといいます。QGPの生成につては今回が世界初というわけでは無く、アメリカニューヨーク州アプトンにあるブルックヘブン国立研究所(BNL)の「相対論的重イオン衝突型加速器(RHIC)」でも成功していますが、今回はそのときの2倍のQGPが生成したということです。 LHCの加速器は、高エネルギーの重イオン粒子を猛スピードで衝突させることができます。毎秒数百万回の衝突を起こすことによって、原子核をより小さな粒子へと分裂させ、ビッグバンから1兆分の1秒後の宇宙の姿を再現しようとしています。今回は衝突させる原子核として鉛イオンを使用し、鉛イオン同士を光の速さとほぼ同じ速度で衝突させたところQGPの生成が確認されました。 QGPは物質の原始的な姿ですので、宇宙誕生の初期段階においてはこのQGPが徐々に冷えつつ、集まって合体し物質を形成したと考えられています。 QGPの特徴は非常に重くて温度が高いだけでは無くほとんど摩擦のない「完全流体」のように振る舞うことも特徴です。 ただ、宇宙誕生の最初の段階では宇宙はQGPよりもさらに高温で完全流体では無く気体のように振る舞っていたという説もあります。研究者らは今回のQGP生成の過程においても、そのごく初期には宇宙誕生時と同様の気体のような性質の段階があった可能性もあるとして、QGPの生成から得たデータを解析して宇宙誕生直後はどのような状態であったかを解明しようとしています。 完全流体 ◇ ◇ ◇ (FeBe! 配信の「ヴォイニッチの科学書」有料版で音声配信並びに、より詳しい配付資料を提供しています。なお、配信開始から一ヶ月を経過しますとバックナンバー扱いとなりますのでご注意下さい。)
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