2011年8月6日 かつて菌の研究は、菌を育てて観察することによって行われていましたが、1990年代に科学機器の進歩によって、菌を育てることなく遺伝子を直接観察する方法が開発されました。人間の体には試験管の中で育てることのできない菌がたくさん生活していたので、このような菌を育てる必要の無い実験方法で常在菌の真の姿がわかってきました。 常在菌が最も多いのは大腸で、人間の持つ遺伝子約2万2000個の150倍にも相当する約330万個の遺伝子が検出され、糞便の3分の1から半分は腸内細菌そのものです。 皮膚も常在菌が好んで住む場所です。顔の表面には1センチメートル四方に数百万個の細菌がいます。これらの菌は外の環境の病原菌から体を守る重要な役目を担っています。たとえば表皮ブドウ球菌は抗菌ペプチドという成分を分泌し、黄色ブドウ球菌を撃退していることが発見されました。さらに、アクネ菌は酸を分泌する性質がありますが、この酸は皮膚の表面を傷つけてニキビの原因となるため、アクネ菌は嫌われ者です。ところが、アクネ菌の出す酸によって皮膚の表面が弱酸性になっていて病原菌が繁殖しにくい環境に保たれています。 ◇ ◇ ◇ (FeBe! 配信の「ヴォイニッチの科学書」有料版で音声配信並びに、より詳しい配付資料を提供しています。なお、配信開始から一ヶ月を経過しますとバックナンバー扱いとなりますのでご注意下さい。)
|
Science-Podcast.jp
制作
このページはインターネット放送局くりらじが毎週放送している科学情報ネットラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」の公式サイトです。放送内容の要旨や補足事項、訂正事項などを掲載しています。
|