2011年8月13日
Chapter-353 「イトカワ」素顔解明進む/3Dゲーム機で原子配列を学ぶ
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「イトカワ」素顔解明進む
2010年に探査機「はやぶさ」が地球へ持ち帰った微粒子の解析が、東京大学、北海道大学。岡山大学などの8つのチームで2011年1月から進められています。
これまでの解析結果から、イトカワが誕生したのは、太陽系が誕生してから630万年以上経過した後だったらしいと推定されました。また、イトカワは長さが約540メートルの小惑星ですが、もともとは大きな天体の一部でそこから分離したようで、微粒子を薄く削り落として内部を調べたところ、700〜900度まで温度が上昇し、ゆっくりと冷えた痕跡が見つかり、このような温度変化は今のイトカワよりも大きな天体でなければ起きない現象だと言うことです。また、微粒子表面に直径100〜200ナノメートルのナノクレーターが複数発見され、別の小惑星など由来の超微粒子が高速でイトカワに衝突した痕とみられています。生命の痕跡となるアミノ酸については今のところ発見されていません。
イトカワから持ち帰った微粒子を解析することによって、太陽系が約46億年前にはどんな様子であったのかが解明できることが期待されています。
3Dゲーム機で原子配列を学ぶ
物質を構成する原子の並び方は物の性質を決める重要な要素です。たとえば、同じ炭素原子からできていても、ダイヤモンドと炭では色や固さ、電気抵抗までも極端に違います。これまでは直接見ることはできませんでした。
奈良先端科学技術大学院大学の研究者らは独自開発した「二次元表示型光電子分光装置」という分析器を用いて世界で初めて原子配列の立体写真の撮影に成功しました。しかし、立体写真を立体視するには、高価な3Dテレビなど大型の装置と専用メガネが必要で、見られるのは研究者ら一部の人でした。そこで、研究者らは多くの人に原子の世界を堪能してもらおうと、データをニンテンドー3DSで表示できるファイルに変換してWebで公開し、世界中の多くの人が気軽に原子の世界を体験することができるようになりました。
http://mswebs.naist.jp/LABs/daimon/index-j.html
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