2011年8月20日 私達の宇宙は誕生の時にインフレーションと呼ばれる急激な膨張を起こしたとされています。このとき、インフレーションは宇宙全体で完全に均一に起きたわけではなくムラがありましたので、宇宙のムラになった部分で、さらにインフレーションが起きて、木からキノコが生えるように、宇宙から宇宙が生えてしまいました。インフレーション宇宙論ではこのような連鎖反応で独立した宇宙が無限個誕生したマルチバースが宇宙の正しい姿だとしています。 ただ、私たちのこの宇宙以外に宇宙があることを証明する方法はこれまで発見されていませんでした。ところが今回、宇宙同士が衝突したときに生じる傷を探すコンピューターアルゴリズムの開発に成功したことによって、他にも宇宙があることを検証できそうなことが分かってきました。 宇宙マイクロ波背景放射(CMB)は宇宙の全方向から地球に降り注いでいるわずかな熱です。130億年以上前の宇宙誕生直後の高温プラズマが放出した輝きが宇宙の膨張によって波長が引き延ばされ、マイクロ波に変化したものですが、現在は人工衛星の進化によってこのかすかな輝きを精密に測定することができるようになりました。 今回発明されたアルゴリズムというのは、この宇宙マイクロ波背景放射のデータを解析して、他の宇宙と衝突していたらこうなるはず、という証拠となるわずかな痕跡のような信号を統計学的解析に基づいて検出するアルゴリズムです。 すでに、新たに開発したアルゴリズムによって既存のデータの解析が行われ、他の宇宙が存在することを示唆しているのではないかと考えられる結果も複数得られていますが、現在の宇宙マイクロ波背景放射のデータではまだ精度が不足していて断定はできないようです。 ◇ ◇ ◇ (FeBe! 配信の「ヴォイニッチの科学書」有料版で音声配信並びに、より詳しい配付資料を提供しています。なお、配信開始から一ヶ月を経過しますとバックナンバー扱いとなりますのでご注意下さい。)
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