2011年8月27日 たとえば、どちらも炭素原子でできた炭とダイヤモンドのように、物質の中で原子がどのように並んでいるかの違いによってその物質の性質は変化します。最近の技術ではすでにそのよな原の子配列を調べることが可能になっています。たとえば、大型放射光実験施設を用いた「原子分解能ホログラフィー」という観察手法が開発され、物質の原子状態を三次元で観察することができるようになって、より詳細な構造解析が可能になっています。ただ、この方法は大型放射光実験施設を使用しなければならないため手軽な手法とはいえません。 そこで、東北大学と堀場製作所は一般の大学や研究施設にも普及している走査型電子顕微鏡を使って原子を三次元で解析する装置を開発しました。それが「逆エックス線光電子ホログラフィー」です。大型放射光実験施設のような特殊な設備を用いることなく実験室レベルで容易に3D原子像が取得できます。 チタン酸ストロンチウムを使った観察実験では走査型電子顕微鏡にもともと装備されている電子銃を利用してチタン酸ストロンチウムに電子線を照射し、チタンから発生する特性エックス線を測定しました。電子線の照射角度と方向を変えながら、連続的に特性エックス線を測定することによりホログラムが記録されます。このホログラムを新たに開発した解析用アルゴリズムを用いて解析することにより、観測されたホログラムから、チタン酸ストロンチウムの結晶構造を鮮明に再生させることに成功しました。 ◇ ◇ ◇ (FeBe! 配信の「ヴォイニッチの科学書」有料版で音声配信並びに、より詳しい配付資料を提供しています。なお、配信開始から一ヶ月を経過しますとバックナンバー扱いとなりますのでご注意下さい。)
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このページはインターネット放送局くりらじが毎週放送している科学情報ネットラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」の公式サイトです。放送内容の要旨や補足事項、訂正事項などを掲載しています。
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