2011年9月3日
Chapter-356 生きた細胞の中身を観察する技術を開発
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独立行政法人日本原子力研究開発機構及び国立大学法人奈良女子大学は、細胞の中身を細胞が生きた状態のまま、しかも、100ナノメートル以下の構造を識別できる高い解像度で観察できるレーザープラズマ軟X線顕微鏡の開発に世界で初めて成功しました。レーザープラズマ軟X線は可視光線よりも波長がはるかに短いため、可視光よりも高い解像度を得ることができます。
細胞の中は静止した静かな空間ではなく、細胞は外部からの刺激に応じて、内部の構造をダイナミックに変化させながら生きていると考えられています。細胞の活動とそのときの内部の構造がどのようになっているかを知ることは、様々な生命現象を解明するための極めて重要な情報となります。
電子顕微鏡は高い解像度を持ちますが、電子顕微鏡は薄くスライスした標本を観察する仕組みなので、生きて動く細胞をそのまま観察することはできません。今回用いられた軟エックス線は、細胞の水は素通りし、炭素には吸収されやすいと言う性質を持っています。しかも、波長は1〜100ナノメートルで可視光よりもはるかに短いので、原理的に高い解像度で細胞内部の微細な構造を直接観察することが可能です。
たとえば、これまでは電子顕微鏡でしか見えなかった細胞核と細胞核内のヘテロクロマチン様構造や厚さ90ナノメートルしかない核膜のもっとも薄い部分も細胞を生かしたまま撮影することができることが分かりました。
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