2010年2月13日
Chapter 277 最近の人工衛星の話題

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ケプラーが系外惑星5個を発見 

ケプラーは2009年3月にNASAが打ち上げた地球型の太陽系外惑星を探すための宇宙望遠鏡です。軌道は地球追尾太陽中心軌道で飛行し、稼働期間は3年半の予定です。この間、15万個以上の恒星の明るさを測定し、トランジット法、つまり、惑星が主星を隠す時に生じる周期的な明るさの変動を検出することによって惑星を探します。
昨年、2009年5月の観測開始から最初の約6週間で得たデータから、5つの太陽系外惑星が発見されました。それらの惑星は、Kepler 4b、5b、6b、7b、8bと名づけられました。いずれも、表面温度が1000度を超えるホットジュピターと呼ばれる高温のガス惑星でした。
 このほかにも、これまでの観測で、数百個の恒星のまわりに惑星が存在している可能性が示されており、現在、新たな観測と平行してこれまでの観測データの詳しい分析が進められています。

ニュー・ホライズンズ、旅の中間点に到達 

ニュー・ホライズンズはNASA が2006年に打ち上げた、人類初の冥王星を含む太陽系外縁天体の探査を行う無人探査機です。ニュー・ホライズンズは非常に足の速い探査機で、月まで9時間、木星まで13ヶ月で到達しました。これは、これまでのすべての探査機の中で最速の記録です。このようにスピードが出せたのは探査機の質量が燃料を除けば480キロ程度しかない超軽量設計のため、打ち上げ直後の初速度を秒速30キロにまで高めることができたからです。あまりに打ち上げ直後の速度が速いため、ニュー・ホライズンズを地球引力から外に押し出す役目をしたロケットエンジンもそのままの勢いで太陽の引力を振り切って太陽系外に飛んでいくことになっています。ニュー・ホライズンズは太陽系の観測が目的の探査機ですが、最終的にはニュー・ホライズンズ自身も太陽系外に飛んでいくことになります。
このたびニュー・ホライズンズはが旅の中間点に到達し、地球からの距離よりも冥王星までの距離のほうが短くなったことが発表されました。現在の飛行速度は時速5万km。冥王星への到着は2015年6月の予定です。

赤外線天文衛星「WISE」がファーストライト 

WISEは広域赤外線探査衛星の英語表記の頭文字をとったものです。同様の機能を持つCOBEや、日本の衛星あかりよりも少なくとも1000倍の感度を持つように設計されています。
WISE一基で全天の99%以上をカバーし、地球の陰に隠れて太陽を避けるようなコースで飛行し、10ヶ月のミッション期間中、11秒ごとに合計150万枚の画像を撮影します。観測対象は太陽系内天体、褐色矮星、銀河系、赤外線銀河、そして、遙か彼方の宇宙領域などです。この赤外線天文衛星WISEが2009年末にファーストライトと言われる最初の観測に成功し、画像が公開されました。

日本初のGPS衛星、愛称は「みちびき」 今夏打ち上げ 

 全地球測位システム(GPS)の日本版衛星として今年の夏に打ち上げられる準天頂衛星について、1号機の愛称が「みちびき」に決まりました。みちびきは2010年の7月から8月の間にH2Aロケットで鹿児島県の種子島から打ち上げられます。
 GPSは米国防総省などが運用している測位衛星で、現在、約30機が運用されていますが、大都市のビル街などでは衛星がビルの陰に隠れてしまい、ナビゲーションに支障が出ています。そのため、日本は独自の準天頂衛星、つまり日本上空を集中的に飛行する軌道を持つ衛星測位システムの構築を進めています。みちびきはその1号機で、技術実証および利用実証を行い、その結果によって衛星3機体制でシステム実証を行う第2段階へ移行するかの判断を行う予定となっています。


ちょきりこきりヴォイニッチ
今日使える科学の小ネタのコーナーです。

▼自殺企図に関連する遺伝子多型を発見
 独マックスプランク研究所の研究者らが重症のうつ病患者を対象にした研究で、自殺を試みる人に共通の特徴的な遺伝子配列を発見しました。特徴的な配列は3カ所あり、そのすべてが自殺企図型だった場合、そうではない人の4.5倍もリスクが高まっていました。

▼スピリット走行不能、NASA公式発表

 2004年から、当初の計画を大幅に延長して火星の調査を続けてきた探査車スピリットが動けなくなりました。砂漠に車輪を取られたのが原因で、様々な脱出のための取り組みが行われたもののいずれも成功せず、このたびNASAは脱出を断念することを発表しました。今後は現在の位置から可能な限りの観測を行う計画です。


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バックナンバー
   
Chapter 276 1年中咲き続けるサクラの開発に成功 
Chapter 275 マイクロキメリズム 
Chapter 274 生命科学に関する最新の話題を盛り合わせ
Chapter 273 レスベラトロール  
Chapter 272 最近発見された生物  
Chapter 271 2010年はリンの貴重さに思いをはせる年にしましょう  
Chapter 270 ヴォイニッチの科学書で振り返る2009年科学の話題 後編  
Chapter 269 ヴォイニッチの科学書で振り返る2009年科学の話題 前編  
Chapter 268 臭わない病気、聞こえない病気に関する最新情報  
Chapter 267 プランクトンが住みにくくなる北極海  
Chapter 266 宇宙でがんばっている探査機たちに思いをはせる  
Chapter-265 伝統医学
Chapter-264 軌道エレベーターと宇宙太陽光発電 
Chapter-263 最近耳にしなくなったオゾンホールの現状と地球温暖化との関係
Chapter-262 金平糖のサイエンス 
Chapter-261 30分でわかるノーベル賞2009  
Chapter-260 リチウムイオン電池
Chapter-259 iPS細胞の応用研究
Chapter-258 月での水の存在
Chapter-257 早起き遺伝子と恐がり遺伝子
Chapter-256 グラフェン
Chapter-255 地球温暖化とちょこっと発電 
Chapter-254 水素から電子を取り出す新しい触媒の発見 
Chapter-253 水にも構造がある 
Chapter-252 食べものと体内時計の関係
Chapter-251 金縛りについて
Chapter-250 国際宇宙ステーション日本実験施設きぼう  
Chapter-249 脳神経科学の話題  
特別番組 山口県立山口図書館 ちょこっとサイエンス講座「宇宙人はなぜそのヘンを歩いていないのか?」 
Chapter-248 サリドマイドの生化学 
Chapter-247 太陽系外惑星探査の歴史と現状 
Chapter-246 氷核活性細菌
Chapter-245 一卵性双生児の最新科学 
Chapter-244 ダークマターとダークエナジー
Chapter-243 フローティングタッチディスプレイ
Chapter-242 トランスジェニックコモンマーモセット
Chapter-241 食感とおいしさの関係
Chapter-240 獲得形質の遺伝に似た現象
Chapter-239 マルチバースと人間原理


>> 「Mowton(放送終了)」はこちら

Science-Podcast.jp 制作






科学コミュニケーター 中西貴之(メール
アシスタント BJ

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ナビゲーター 中西貴之 obio@c-radio.net
 1965年生まれ
 島生まれの島育ち
 応用微生物学専攻
 現在化学メーカーの研究所勤務
 所属学会 日本質量分析学会 他
 日本科学技術ジャーナリスト会議会員

ナビゲーター BJ
 インターネット放送局くりらじ局長

 


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