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2009年8月22日
Chapter-252 食べものと体内時計の関係

 動物の身体機能はある一定の時間を単位としてそれを周期的に繰り返すようにできており、そのサイクルのことをサーカディアンリズムといいます。サーカディアンリズムが乱されると睡眠障害が発症することがあります。この睡眠障害の発症には体内時計の狂いが関わっています。現代は社会活動が24時間365日化してしまい、それにあわせてさまざまな睡眠障害が社会的問題となってきています。

独立行政法人産業技術総合研究所などの研究チームは、炭水化物を0.73%に減らしたケトン体ダイエットエサに時計遺伝の最もよく働く時刻を前にずらす作用があることが確認されました。マウスを常に暗い状態で飼育し、ケトン体ダイエット飼育するとマウスの活動時間帯が早まり、体内時計周期も15分から20分程度短くなっていることが観察されました。このことは食事によって体内時計を修正し、睡眠障害を治療することが可能であることを示唆しています。

 また、体内時計の正常化に高脂血症治療薬が効果があるという報告も出ています。脂肪酸代謝において中心的な役割を担っているPPARαと名付けられたタンパク質が、体内時計の調節に関わっていることが動物実験によって明らかになり、PPARαに作用する高脂血症治療薬にサーカディアンリズムの障害改善効果が確認されました。PPARαに作用する薬は脂質代謝を改善するとして知られています。


ちょきりこきりヴォイニッチ
今日使える科学の小ネタです。

▼LHC設計通りの性能発揮できず
 地上でブラックホールを作る!と壮大な計画を打ち立てながら、最初の実験でいきなり故障したり、女子大生に設計ミスを指摘されたり、その後もトラブルが続出したりしているお騒がせのLHC(欧州原子核研究機構大型ハドロン衝突型加速器)ですが、結局、設計通りの性能が出せないまま運用を行うこととなりました。2008年の冷却用ヘリウム流出事故を契機に加速器内部の配線などの再点検作業が実施した結果、事故を起こした問題箇所以外にも多数の不具合が見つかりました。完全な改修を行うとなると、運転再開が大幅に遅れ、LHC建設当初の目的である「ヒッグス粒子」の発見をはるかに小規模な米フェルミ国立加速器研究所の加速器に先取りされ、LHCの存在意義自体が失われるため、摂家位置の半分の性能での運用を開始する決断が行われました。

▼地球温暖化で砂漠が緑地に?
地球温暖化によってアフリカ大陸は砂漠化するというのが一般的な説ですが、気温上昇によって、アフリカの砂漠地帯が緑地となるという研究結果が発表されました。サハラ砂漠周辺はすでに降水量が増加し、緑化が進んでいる衛星からの観測事実はあり、気温上昇による大地の保水性上昇によって大地と大気を循環する水の量が多くなったために降水量が増えたことが原因だと思われています。

▼世界最大の望遠鏡が完成
 スペイン領カナリア諸島のラ・パルマ島に世界最大の反射鏡を持つ望遠鏡が完成しました。この望遠鏡の反射鏡は日本のすばるのような1枚鏡ではなく、複数の鏡をあわせた分割鏡ですが、直径10.4メートルで、このタイプの望遠鏡としては現時点で世界最大です。

▼タイタンは地球にそっくりな天体だった
 地表に川や湖、三角州や砂丘、山脈のような地形が発見された土星の衛星タイタンですが、それらの地形は、地球がこれまでに経験してきたような風や雨、火山、そのほか地質学的なプロセスを経て形成されたようです。その結果、現在、タイタンは太陽系で最も地球に似ている天体だと考えられています。ただし、川や湖を満たしているのは水ではなく、メタンやエタンなど液体の炭化水素である点が大きく異なります。

▼大きく形をゆがめて脈打つベテルギウス
 ベテルギウスはオリオン座の方の一に輝く赤色巨星です。ベテルギウスは明るさが変化する変光星ですが、この変更は肉眼でも確認することができるほどダイナミックなものです。ベテルギウスは激しく物質を放出しています。ドイツのマックス・プランク電波天文学研究所の大仲圭一氏のチーム撮影した高解像度データによると、ベテルギウスを取り巻くガスは上下に激しく流動し、星自身に匹敵するサイズの泡を生じている様子が確認されました。ベテルギウスを近くで観測したとすると惑星自体がガスの泡によって大きく歪みながら脈打っているように見えるはずです。ベテルギウスの光が地球に届くまでは640年かかり、私達は640年前のベテルギウスを観測していることになりますので、今この瞬間にはベテルギウスはすでに超新星爆発し姿を消している可能性もあります。

▼新刊の紹介 
おびおが書いた科学の本が7月24日頃、全国の書店に並びます。今回のテーマも前回に引き続き食品ですが、前回の「食品汚染はなにが危ないのか」では食品添加物などに着目しましたが、今回は食品中の血となり肉となる成分について考えてみました。
太陽の恵みをいっぱいに浴びて育った野菜や果物、丸々と太った家畜から得られる肉類。それらが私たちの体の中で緻密に役割分担しながら、私たち人間を動かしているメカニズムを、ちょっとのぞいてみたいと思います。
タイトル:食べ物はこうして血となり肉となる ~ちょっと意外な体の中の食物動態~
技術評論社 2009年7月24日頃発売  1659円
>>Amazonで購入する   




バックナンバー
   
Chapter-251 金縛りについて
Chapter-250 国際宇宙ステーション日本実験施設きぼう  
Chapter-249 脳神経科学の話題  
特別番組 山口県立山口図書館 ちょこっとサイエンス講座「宇宙人はなぜそのヘンを歩いていないのか?」 
Chapter-248 サリドマイドの生化学 
Chapter-247 太陽系外惑星探査の歴史と現状 
Chapter-246 氷核活性細菌
Chapter-245 一卵性双生児の最新科学 
Chapter-244 ダークマターとダークエナジー
Chapter-243 フローティングタッチディスプレイ
Chapter-242 トランスジェニックコモンマーモセット
Chapter-241 食感とおいしさの関係
Chapter-240 獲得形質の遺伝に似た現象
Chapter-239 マルチバースと人間原理
Chapter-238 マルチバース/ハッブル宇宙望遠鏡修理中
Chapter-237 近頃の恐竜の話題  
Chapter-236 レールガン実用化の歴史 
Chapter-235 ゴッホの絵画に隠されていた黒猫の発見
Chapter-234 バージェス頁岩発見から100年
Chapter-233 宇宙に吠える巨大モンスター
Chapter-232 産総研が開発したHRPシリーズの最新型ロボット
Chapter-231 他人の不幸は蜜の味
Chapter-230 最近の宇宙の話題
Chapter-229 ジョージ・ガモフの「不思議の国のトムキンス」 
Chapter-228 ヒラメとカレイの目の位置を決定する仕組み
Chapter-227 シャドーバイオスフィア 
Chapter-226 ジェットコースターの楽しみ方
Chapter-225 再び注目される超伝導
Chapter-224 ピンチになると活躍する遺伝子 
Chapter-223 アルツハイマー病に関する新たな発見

>> 「Mowton(放送終了)」はこちら

Science-Podcast.jp 制作






科学コミュニケーター 中西貴之(メール
アシスタント BJ

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[この番組の担当は・・・]

ナビゲーター 中西貴之 obio@c-radio.net
 1965年生まれ
 島生まれの島育ち
 応用微生物学専攻
 現在化学メーカーの研究所勤務
 所属学会 日本質量分析学会 他
 日本科学技術ジャーナリスト会議会員

ナビゲーター BJ
 インターネット放送局くりらじ局長

 


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