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2009年7月4日
Chapter-246 氷核活性細菌
氷核活性細菌と呼ばれる細菌は上空の雲の中で降水に関わっています。雨、雪、雹(ひょう)の中には氷核形成体と呼ばれる有機物が存在していることが知られています。この有機物は2種類に分けられ、ひとつは細菌の細胞、もうひとつは生物ではない有機物のかたまりです。特に、摂氏10度を超える高い温度で雨や雪が形成される場合は、多くの場合氷核活性細菌の細胞が核になっています。
最近の研究で氷核活性細菌は地表の生態系と雲の中をダイナミックに移動しているらしいことがわかってきています。つまり、土壌中の氷核活性細菌は大気の循環によって上空に上昇し、そこで自ら雨を形成して地上に雨と共に落下し、雨がやんだ後再び大気の循環に乗って上空へのぼっているようなのです。これは、地球の水循環に細菌が大きく関わっていることを示唆していて、このような、地球規模の物質の大循環を細菌が担っているというのはここ十数年の比較的新しい考え方です。
水は0度で凍るものだと一般には考えられていますが、水に含まれている不純物や凍らせ方によって凍る温度は様々に変化します。氷核活性細菌には水が凍り始める温度を高くする性質があることが知られています。たとえば、基準となる水がマイナス22度で凍るように実験条件を設定したとき、氷核活性細菌を水に混ぜるとその水はそれよりはるかに高いマイナス3度で凍ってしまいます。比較対象として大腸菌を水に混ぜた場合はマイナス20度、乳酸菌を混ぜた場合はマイナス19度で凍結し、何も添加しないときとほとんど変わりませんでしたので
、氷核活性細菌には水をより高い温度で凍結させる働きがあるようです。
この性質を利用して、氷核活性細菌を殺菌した上で粉末とし、水に混ぜることによって比較高い温度で人工雪を降らせることのできる「スノーマックス」という商品が実用化されています。これは、気温マイナス0.5度で水を雪に変えることができるため、1988年のカルガリー冬期オリンピックで大々的に使用されました。
ちょきりこきりヴォイニッチ
今日使える科学の小ネタ
▼レアメタルを酵母で回収
工場排水に含まれる微量のレアメタルを酵母を使って回収する基礎技術を遺伝子組み換え技術を使って京都大学が開発しました。今回の遺伝子組み換えのポイントは酵母の表面に金属とくっつく性質を持つタンパク質を作りだしたことです。レアメタルなどを微量に含む溶液に培養した組み替え酵母を入れると酵母表面に金属がくっつき重くなって沈殿します。pHを調整するとタンパク質と金属の結合がはずれますので、金属を回収し、酵母は再利用できます。
日本は都市鉱山などと言って、実はレアメタル大国だ、等という論調もありますが、それを回収して再利用できなければ意味がないので、このようなよりレアメタル源として利用しやすい排水や海水などからレアメタルを回収する技術は重要です。
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