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2009年7月11日
Chapter-247 太陽系外惑星探査の歴史と現状
星が惑星を持っていることを確認する方法はいくつかあります。
○直接的観測法
直接観測法は、望遠鏡で惑星を直接見て発見してしまおうという方法です。惑星の写真撮影には初めて成功したのは2008年、ハッブル宇宙望遠鏡による観測でした。同じ年、ハワイのジェミニ望遠鏡とケック望遠鏡も惑星の撮影に成功したことを発表し、次いで、2009年には日本の望遠鏡「すばる」も同様の発表を行いました。
○間接的観測(食の観測)
恒星の前を惑星が横切る「食」という現象によって起きる明るさの変化をとらえるものです。惑星による食を観測することに成功すれば、その惑星が中心の恒星をどれくらいの時間をかけて回っているかという公転周期や、中心の恒星からその惑星までの距離、惑星の大きさなどを知ることができます。問題点は観測可能な地球と惑星系の位置関係に制限があり、食が起きているその時に観測しなければならないという時間的制限もある点です。
○間接的観測(ドップラー効果の観測)
恒星の周りを惑星が回ることによって恒星が振り回されて揺れることを観測する方法です。重い惑星が公転していると、中心の恒星はその影響を受け、共通重心と呼ばれる特殊な地点を中心にお互いが相手の周りを回るような動きをします。この現象を地球から見ると、恒星がわずかに地球に近づいたり、地球から遠ざかったりします。光は光源が観測している人に近づくように動いていると青くなり、遠ざかるように動いていると赤くなる決まりがあり、これをドップラー効果といいます。ドップラー効果に周期性があれば惑星があることの証拠となります。この方法は食と比べて観測できるチャンスが多く、観測も容易なのでこれまで報告された太陽系外惑星のほとんどはこの方法で発見されています。
○これからの太陽系外惑星探査プロジェクト(アルマ望遠鏡)
南米チリに日米欧が共同で建設中のアルマ望遠鏡は標高の非常に高い砂漠地帯に80台のパラボラ・アンテナを建設し、それらで同時に観測することによって直径18.5kmの電波望遠鏡に相当する解像力を得ることができ、銀河の形成、星と惑星系の形成、宇宙における有機分子の合成等などの解明に挑みます。
○これからの太陽系外惑星探査プロジェクト(コロー)
2006年12月に欧州宇宙機関が打ち上げた太陽系外惑星探査衛星COROTは食を観測することによって恒星の周囲を回る惑星を観測します。ドップラー効果を使った観測では地球のような軽い岩石惑星は発見できません。そこで、大気圏外からの精密な測光観測によって食を検出し、小さな地球型惑星を検出しようとするものです。
○これからの太陽系外惑星探査プロジェクト(ケプラー)
NASAが打ち上げた人工衛星ケプラーも食を観測します。ケプラーは地球型惑星の発見の他、太陽が2つある連星系の惑星探査やホットジュピターの性質について調べたりします。
ちょきりこきりヴォイニッチ
今日使える科学の小ネタです。
▼皆既日食
いよいよ22日は46年ぶりの皆既日食です。
皆既日食というのは、太陽が月で完全に隠される日食のことですが、前回日本で観測されたのは1963年のことでした。次回日本で観測されるのは26年後です。今回の日食はいろいろと条件がよく、太陽が完全に隠されている時間が最長で6分44秒もあります。月が近くにあって太陽をしっかりと隠すので、皆既日食の地域では星の観測も可能なほど暗くなるのではないかと考えられています。
日食を観測する際には必ず専用のサングラスを購入してください。黒い下敷きとかサングラスとか、CDをすかしてみるとかは絶対にダメです。昔は、ガラスにすすをつければ太陽が観測できるなどと言われていましたが、最近では見た目が暗くなるだけでは目の保護は不十分で、目に見えない赤外線と紫外線が目を傷つけるため、IRもUVもWもカットする日食観測専用のフィルターを使ってくださいとのことです。
▼日本の宇宙ステーション補給機いよいよ打ち上げへ
JAXAは、宇宙ステーション補給機(HTV)の技術実証機を搭載したH-IIBロケット試験機の打ち上げを9月11日(金)午前2時04分(日本標準時)に実施すると発表しました。HTVは、無人の軌道間輸送機としてスペースシャトル退役後の活躍が期待されています。
HTVは、直径約4m、全長10m弱の無人の軌道間輸送機です。食糧や衣類、各種実験装置など最大6tの補給物資を地上約400km上空の軌道上にある国際宇宙ステーション(ISS)に送り届け、補給が済むと、用途を終えた実験機器や使用後の衣類などを積み込み、大気圏に再突入して燃焼廃棄されます。
ISSへのドッキング方法が独特で、H-IIBロケットで打ち上げられたあと、ISSへ接近し、所定の位置に相対停止します。その後、ISSのロボットアームによって把持され、ISSにドッキングします。このようなランデブー手法をとる宇宙船は世界初です。
ドッキング後は係留して荷物の積み卸しを行い、打ち上げから36日目にISSから離脱、その後大気圏に突入して燃え尽きることになっています。
▼講演会のお知らせ
場所は 山口県山口市の 山口県立山口図書館
日時は 2009年7月18日(土曜日)10時〜12時
演題: 「なぜ宇宙人はそのヘンを歩いていないのか」
内容: 太陽系外惑星探査の歴史と現状、宇宙に生命が誕生する仕組みなどについて、一般の方にもわかりやすく、楽しく解説します。
参加費: 無料
詳しいことは山口県立山口図書館までお尋ね下さい。
▼新刊の紹介
おびおが書いた科学の本が7月24日頃、全国の書店に並びます。今回のテーマも前回に引き続き食品ですが、前回の「食品汚染はなにが危ないのか」では食品添加物などに着目しましたが、今回は食品中の血となり肉となる成分について考えてみました。
太陽の恵みをいっぱいに浴びて育った野菜や果物、丸々と太った家畜から得られる肉類。それらが私たちの体の中で緻密に役割分担しながら、私たち人間を動かしているメカニズムを、ちょっとのぞいてみたいと思います。
タイトル:食べ物はこうして血となり肉となる ~ちょっと意外な体の中の食物動態~
技術評論社 2009年7月24日頃発売 1659円
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