2008年9月20日 夜行雲 夜光雲が発見された19世紀末は産業革命の時期と一致していますが、工業の発展と夜光雲の関係についてはまだはっきりしていません。 不思議なことに、19世紀には、夜光雲を見ることができるのは、緯度が50度以上のスカンジナビアやシベリア、スコットランドなどの地域に限定されていましたが、近年では、中緯度の米・オレゴン州やワシントン州、トルコやイランなどの国々でも見られるようになっています。 NASAは、2007年4月に打ち上げた中間圏観測衛星AIMによって、夜光雲の大きさや形、雲を形成している氷の結晶などの観測を行っています。観測結果から、夜光雲は極地方が夏を迎える時期に現れること、広範囲に広がって、数日から数時間の単位で大きな変化を見せることなどがわかってきました。また、夜光雲を形成している氷の結晶の粒は40〜100nmで、ちょうど青い光を散乱する大きさであることもわかりました。同時に、30nm以下の大きさで光を散乱しない、目に見えない結晶の存在も明らかとなっています。 一方、現在、世界各国の天文学者が協力して、宇宙の地図を作ることを目的とした宇宙全体を網羅する大規模な観測プロジェクトが行われており、これをスローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)と呼びます。 このSDSSに含まれるプロジェクトの一環として、天の川銀河にある2500万個の星について、星が宇宙空間を移動する速度の計測が行い、速度ごとに星を分類した結果、このたび、天の川銀河の外側を取り巻く星の流れ11本が見つかりました。星の流れはすでに2007年6月に天の川銀河を取り巻く3つのリングとして発表されていましたが、今回さらに11本が見つかったことになり、今までに発見されたものを含めた大小14本の星の流れは、互いに交差するなどして入り乱れ、複雑な構造を見せています。 リングを形成する星の由来についても検討が行われていますが、14本のうちの1本は、天の川銀河の射手座方向にある伴銀河が天の川銀河の重力によって引き伸ばされたものであるらしいことがわかっていますが、それ以外の流れの具体的な起源は明らかになっていません。
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