2008年5月3日
Chapter-198 サイエンスニュースフラッシュ 2008年4月号

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褒められることは報酬

 脳の活動状態をリアルタイムで画像化できるfMRIを使って平均年齢21歳の男女19人に、褒められる状況と、報酬としてお金がもらえる状況の二つの状況をテストし、脳の反応を調べました。すると、他人に褒められた場合も報酬としてお金をもらった場合もいずれも同じ「線条体」と呼ばれる部位が反応することがわかりました。

水素燃料電池で飛ぶ有人飛行機

 ボーイング社は水素燃料電池を電源に使った有人飛行機に成功したことを発表しました。
 この航空機はオーストリア製の市販2人乗りモーターグライダーを改造したもので、飛行実験では通常のバッテリーと水素燃料電池の両方を電源にして離陸し、高度1000メートルを水素燃料電池だけで約20分間飛行しました。

世界最古の樹木は樹齢8000年

 スウェーデン西部の山林で樹齢が8000年の世界最古の生きた樹木が発見されていたことが明らかとなりました。これまで、世界で最古の樹木とされてきたのは米カリフォルニア州のホワイトマウンテンにある樹齢4800年の「メセトラ」と呼ばれる樹木だとされていましたので、今回の発見は、樹齢の世界記録を一気に3200年も延長するという大記録となりました。ちなみに、屋久島の縄文杉で最も古いものは樹齢が4000年とされています。

森林の二酸化炭素吸収効果

 地球温暖化対策で大きな鍵を握るといわれている森林は、樹木の種類や気象変動により二酸化炭素の吸収量が大きく影響されることが、国立環境研究所、産業技術総合研究所などの観測によって明らかになりました。今回の観測で、明らかになったことの一つは、東南アジアの乾季が長期化し降水量が減少すると、光合成量の大きな低下が観測されたことです。その原因は降水量減少が落葉を促進させたためと考えられ、気温上昇が土壌乾燥をもたらし大気中の二酸化炭素量をさらに増やす悪循環に陥ることが実際のデータで確認されました。

アメリカがついに世界第二位に転落し、中国が世界第一位に

 中国が米国を超えて世界一の二酸化炭素排出国となった可能性が強いことがカリフォルニア大学の研究グループの研究によって明らかとなりました。研究グループによると中国は経済成長の弾みから2000年以降、二酸化炭素排出量が急激に増加してしており、、恐らく2006〜2007年にかけて中国の二酸化炭素排出量は米国を超えたと推測できるとしています。

脳の左も右も「右脳」なマウスを発見

 九州大学 大学院理学研究院の研究グループは、脳の左も右も「右脳」の性質を持つマウスを発見しました。ある突然変異マウスの系統では、心臓が右にあるなど、生まれた子供の50パーセントで体の中身が全て逆転しています。しかし、このマウスの体の中身の左右が正常であろうと反対であろうと、脳の神経回路は、左も右も「右脳」の性質を持っていることがわかりました。右脳、左脳の役割分担は高度な情報処理の要ですが、脳の構造や機能に左右差を生み出すメカニズムに関してはまだほとんど知られておらず、今回の特殊なマウスの発見は脳の左右差が形成されるメカニズムの解明に役立つものと期待されています。

募集

NASAからアイディア募集のお知らせ

 現在火星で生命の証拠を求めて活動中のNASAの火星探査ローバー「スピリット」と「オポチュニティー」のソーラーパネルに砂埃が積もって発電量が減少正常な状態の3分の1まで減少し、探査計画にも支障がでる状況となっています。NASAでは「ソーラーパネルに積もった砂埃の除去方法を思いついた方はNASAまでご連絡ください」と呼びかけています。
 NASAでは今のところソーラーパネルに積もった砂埃は時折吹いてくる突風によって吹き飛ばされることを期待するしか方法はないと考えていますので、実現可能な画期的なアイディアをお持ちの方はお知らせ下さい。

同じくNASAから運送業者募集のお知らせ

 NASAでは2010年に予定されているスペースシャトルの退役後、国際宇宙ステーションへ物資を輸送してくれる民間業者を募集しています。
 すでに発表されている募集要項によりますと、最低200トンの物資を国際宇宙ステーションに運搬することを条件に、最大31億ドル(約3100億円)の費用を支払うとしています。契約期間は2010年度から数年です。国際宇宙ステーションへ荷物を運ぶことのできる自前の宇宙輸送船をお持ちの方、または2010年までに建造可能な方はぜひご応募下さい。

ライブヴォイニッチ J:COM 下関で放送中

 4月12日に下関市立彦島図書館で開催されました教科書が教えないホットな科学の講演会第8回、テーマ「地球環境」が、J:COM下関で毎週金曜日に放送されています。下関地区にお住まいの方で、J:COM下関と契約しておられる方は是非ご覧下さい。
>>圧縮率が高いので画質・音質は悪いですがオンデマンドもあります。


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バックナンバー
   
Chapter-197 日焼け止めがサンゴの白化を促すことがわかった
Chapter-196 干からびた生物が元どおりに生き返るメカニズムを解明
Chapter-195 国際宇宙ステーションと「きぼう」
Chapter-194 サイエンスニュースフラッシュ 2008年2月 
Chapter-193 水星探査機ビーナスエクスプレス 
Chapter-192 脳機能に関する最新研究 
Chapter-191 サイエンスニュースフラッシュ 2008年1月
Chapter-190 超弦理論でブラックホール内部の構造が明らかになった
Chapter-189 ブラックカーボンと地球温暖化
Chapter-188 日本人が発明した垂直磁気記録
Chapter-187 サイエンスニュースフラッシュ 2007年12月
Chapter-186 お正月番外編「人を助ける へんな細菌すごい細菌」
Chapter-185 2007年に紹介した話題・その後
Chapter-184 脳機能に関するふたつの最新研究
Chapter-183 サイエンスアゴラ2007を振り返る
Chapter-182 ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立に成功
Chapter-181 光が空間を伝わる様子を3次元の動画として記録・観察に世界で初めて成功 
Chapter-180 サイエンスニュースフラッシュ 2007年10月 
Chapter-179 2007年ノーベル化学賞
Chapter-178 2007年ノーベル物理学賞
Chapter-177 2007年ノーベル・生理学医学賞
Chapter-176 サイエンスニュースフラッシュ 2007年9月 
Chapter-174 今週の人工衛星「WMAP」
Chapter-173 塗り絵は脳を活性化させるか?
Chapter-172 サイエンスニュースフラッシュ 2007年8月
Chapter-171 日本の十大発明家の中の五大発明家
Chapter-170 地震観測・地震予知
Chapter-169 サイエンスニュースフラッシュ 2007年7月
Chapter-168 ブレインバンク & 燃料電池電車クヤR291
Chapter-167 レアメタル問題
Chapter-166 粘菌問題
Chapter-165 サイエンスニュースフラッシュ 2007年6月
Chapter-164 2007年上半期・気になる科学の話題
Chapter-163 時間はメイドイン・パリだった
Chapter-162 リンゴの褐変とホエールフォール
Chapter-161 サイエンスニュースフラッシュ2007年5月号
Chapter-160 シリーズ人工衛星「日本の月探査機・かぐや」
Chapter-159 深海底熱水活動域微生物
Chapter-158 雷 
Chapter-157 サイエンスニュースフラッシュ 2007年4月
Chapter-156 開花を指令するホルモンをついに捕まえた
Chapter-155 1000mg含まれているアレ 
Chapter-154 サイエンスニュースフラッシュ 2007年3月 



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  科学書 35,314 名様
  書 棚 14,434 名様
 
 先週も大勢の方に聴いていただきました。
 ありがとうございました。



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[この番組の担当は・・・]

ナビゲーター 中西貴之 obio@c-radio.net
 1965年生まれ
 島生まれの島育ち
 応用微生物学専攻
 現在化学メーカーの研究所勤務
 所属学会 日本質量分析学会 他
 日本科学技術ジャーナリスト会議会員

ナビゲーター BJ
 インターネット放送局くりらじ局長


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中川翔子のギザサイエンス (ニッポン放送 毎週土曜日21:30〜)

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