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2009年4月11日
Chapter-234 バージェス頁岩発見から100年
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ロッキー山脈にはカンブリア紀に形成されたバージェス頁岩と呼ばれる化石層があります。この地層は世界遺産にも登録されていますが、バージェス頁岩が有名な理由は姿が今の生物のどれとも似ていないような生物、たとえば、目が5つあったり、手の先に口があったり、どっちが上でどっちがしたかもよくわからなかったり、そんな生物がこの地球に生きていたという証拠が残されているためです。
この地層が作られたのは約5億6千万年前から5億年前ごろです。陸上には生物はまだ何もいませんでしたが、海の中は三葉虫類の全盛期でした。三葉虫以外の生物もすでに多数出現していて,現在生きているすべての生物のご先祖様は、このカンブリア紀の終りまでに出そろったとされています。
バージェス頁岩で発見される化石の中で最も多いのは三葉虫や腕足類です。三葉虫は説明の必要はないかもしれませんが、腕足類というのはお腹と背中にそれぞれ殻をくっつけた二枚貝のような生物で貝の隙間から触手を出して歩いたりエサをとったりします。バージェス頁岩ではこれら以外に、藻類、海綿、クラゲ、今で言う毛虫やイモ虫のような見た目の一般には化石として残りにくいとされるやわらかい生物が化石となって発掘されることも特徴ですます。
化石の多くは死体の上に砂や火山灰が降り積もってできるのですが、完全に埋もれるまでに時間がかかると、微生物によって腐敗してしまいます。そのため腐敗しにくい骨などしか残りません。ところが、バージェス頁岩は海中で起きた崖崩れなによって、その周辺にいた生物が丸ごと一瞬にして土砂の中に埋め込まれてしまいました。すると、土砂の中は直ちに酸欠状態になってしまいますので、細菌の活動が低下し、腐敗から免れることができたのだと推定されています。
バージェス頁岩の発見者であり、その後、この地層について貴重な研究成果を残した古生物学者チャールズ・ウォルコットによる当時の解析では、発見されたほとんどの化石が、現在のいかなる生物の祖先にも分類できない生物であると考えられました。その後の研究で見た目こそ異なるものの現在の生物につながる生き物が多かったこともわかってきましたが、それにしても、この時代より前の地層ではこれほど豊富な生物は存在していなかったことは事実で、わずか数百万年の間に急速に様々な生物が誕生したため、カンブリア紀の大爆発とも言われます。
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