2008年11月29日 NASAの惑星探査機ボイジャー2号が末端衝撃波面を通過しました。末端衝撃波面というのは、太陽から音速よりも速い速度で噴き出した太陽プラズマが宇宙空間を満たす星間物質を押し戻そうとする力と背課員物質が逆方向に押し返そうとする力が衝突する場所のことです。末端衝撃波面より内側は星間物質がありませんので、宇宙空間の中に太陽系を守るように巨大な回転楕円体の空洞ができています。この空洞は太陽圏とよばれ、地球から太陽までの距離の100倍〜150倍にわたって広がっています。 一方、ボイジャー2号はボイジャー1号の時よりも地球−太陽間の距離の10倍も近いところで末端衝撃波面を通過しました。このことは末端衝撃波面が太陽系の進行方向に対して左右に非対称な形をしていることを示しています。これはおそらく局所的な星間磁場の影響であろうと考えられています。また、1号と2号の末端衝撃波面通過時の観測結果は大きく異なっており、これらの違いから末端衝撃波面には内向きや外向きの高速な運動、末端衝撃波面に沿ったさざ彼の伝播があることがわかり、ひょっとすると末端衝撃波面は消失と再形成を繰り返している可能性もあり、これまで考えていたよりもダイナミックに変化しているようです。 ボイジャー1号と2号による観測結果は、末端衝撃波面が非常に複雑であることを示しています。その詳細な点については多くの不確かな点が残っていますが、地球周辺からの遠隔観測技術も向上していますので、ボイジャーの観測結果と地球周辺からの観測結果のデータを合わせることにより、末端衝撃波面の構造に関する理解が進むものと期待されます。
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