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2009年6月27日
Chapter-245 一卵性双生児の最新科学

1個の受精卵から二人の子供が生まれる一卵性双生児は同一の遺伝子を持ち、世界全体で250〜300回の出産につき1回、日本でも300数十回の出産で1組の割合で誕生します。

 一卵性双生児が誕生する確率の高い家系の遺伝子を調べたところ、その家系特有のある特定の遺伝子パターンを見つけることができました。けれど、この遺伝子パターンが存在していても、子供がすべて一卵性双生児だというわけではありません。考えられる理由の一つとして、胎内で一卵性双生児の元はできるのだけれど、双子のうちの片方が成長することなく胎内で消えてしまう可能性が提示されています。この説では、自然妊娠における双子形成の確率は、実は、双子が生まれてくる確率よりもはるかに高く、双子のうちの片方が胎内で死亡したり、あるいは双子の両方が死亡して妊娠にさえ気づかれないケースも多くあると考えられるのだそうです。

 また、一卵性双生児を誕生させる遺伝子が司っているのは、一卵性双生児の形成ではなく、つまり、胚の分割などが遺伝子で指示されているのではなく、遺伝子が作り出しているのは、双子を宿すことを可能にする母胎の構造だという説もあります。一卵性双生児の妊娠を維持するためには、想定外の構造をした胚の着床を受け入れるしくみと妊娠を支える機構が母胎に備わっていなければならないと考えられているためです。

 一卵性双生児については、出産後も大きな謎があります。それは一卵性双生児であっても見た目や性格、病気のなりやすさに違いがあると言うことです。この点については、「エピジェネティックな遺伝子の変化」と呼ばれる遺伝子の修飾で説明できる可能性があります。つまり、元となる遺伝子は同一のものであっても、遺伝子に付加的に起こる構造の変化によって性格などに違いが生じる可能性があるというものです。

科学の歴史を振り返る
今週の科学史カレンダー

1796年7月1日 ジェンナーが種痘の実験に成功
イギリスの医師ジェンナーは、牛痘にかかった農婦は天然痘にはかからないという経験に基づいて研究を進め、ジェームズ・フィップスという8歳の男児の腕に牛痘にかかった乳しぼりの女の手のおできの膿を接種。7月1日、少年に真性痘瘡毒を接種したが発病はなく、牛痘で天然痘が予防できることを証明しました。

ちょきりこきりヴォイニッチ
今日使える科学の小ネタ

▼現生人類が生き残った理由は食糧を確保するために使用した道具の技術革新があったからではないか

 かつて地球上には20種類近い人類が住んでいたにもかかわらず、現在まで生き残ったのはホモサピエンスだけでした。他の人類は滅んで私達だけが生き残ったのはなぜなのでしょうかという疑問です。

 たとえば、かつて人類の祖先だと考えられていたネアンデルタール人は2万5000年前に絶滅しました。一方、私達の直接の祖先ではないかと考えられているクロマニヨン人は一時期ネアンデルタール人とヨーロッパの同じ地域で共存していたと言います。なぜ同じ時代に同じ場所に生きながら片方だけが絶滅したのだろうか、ということです。

 その一つの可能性として新聞紙面で紹介されているのが絶滅したネアンデルタール人は新しい種類の石器の開発をしなかったのに対し、クロマニヨン人は刻む、削るなどの目的に応じた石器を次々に開発して、使える道具のバリエーションを増やしていったということです。その結果クロマニヨン人はいろいろな動物や植物を食糧とすることができるようになったようです。ネアンデルタール人とクロマニヨン人が共存していた時代は氷河期の最も寒い時期だったため、入手できる食料の種類や量に限りがありました。クロマニヨン人は多彩な道具を活用して食糧の選択肢が多かったためにこの時代を乗り越える事ができたのではないかと考えられています。




バックナンバー
   
Chapter-244 ダークマターとダークエナジー
Chapter-243 フローティングタッチディスプレイ
Chapter-242 トランスジェニックコモンマーモセット
Chapter-241 食感とおいしさの関係
Chapter-240 獲得形質の遺伝に似た現象
Chapter-239 マルチバースと人間原理
Chapter-238 マルチバース/ハッブル宇宙望遠鏡修理中
Chapter-237 近頃の恐竜の話題  
Chapter-236 レールガン実用化の歴史 
Chapter-235 ゴッホの絵画に隠されていた黒猫の発見
Chapter-234 バージェス頁岩発見から100年
Chapter-233 宇宙に吠える巨大モンスター
Chapter-232 産総研が開発したHRPシリーズの最新型ロボット
Chapter-231 他人の不幸は蜜の味
Chapter-230 最近の宇宙の話題
Chapter-229 ジョージ・ガモフの「不思議の国のトムキンス」 
Chapter-228 ヒラメとカレイの目の位置を決定する仕組み
Chapter-227 シャドーバイオスフィア 
Chapter-226 ジェットコースターの楽しみ方
Chapter-225 再び注目される超伝導
Chapter-224 ピンチになると活躍する遺伝子 
Chapter-223 アルツハイマー病に関する新たな発見
Chapter-222 私達が春を感じる仕組み
Chapter-221 サイエンスニュースフラッシュ 2008年11月号  
Chapter-220 惑星探査機ボイジャー2号末端衝撃波面通過
Chapter-219 絶滅動物を復活させる新技術
Chapter-218 粘菌問題再び
Chapter-217 2008年 ノーベル物理学賞
Chapter-216 2008年 ノーベル生理学・医学賞 
Chapter-215 サイエンスニュースフラッシュ 2008年9月号
Chapter-214 地熱発電の可能性
Chapter-213 夜行雲 / 天の川銀河で発見された新たな構造
Chapter-212 iPS細胞の応用
Chapter-211 長期記憶形成のメカニズムがわかり始めた
Chapter-210 サイエンスニュースフラッシュ 2008年7月 



>> 「Mowton(放送終了)」はこちら

Science-Podcast.jp 制作






科学コミュニケーター 中西貴之(メール
アシスタント BJ

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[この番組の担当は・・・]

ナビゲーター 中西貴之 obio@c-radio.net
 1965年生まれ
 島生まれの島育ち
 応用微生物学専攻
 現在化学メーカーの研究所勤務
 所属学会 日本質量分析学会 他
 日本科学技術ジャーナリスト会議会員

ナビゲーター BJ
 インターネット放送局くりらじ局長

 


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