2011年9月24日
Chapter-359 粒子は光速を越える速度で移動できるのか?
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欧州原子核研究機構(CERN)が加速器で作成したニュートリノを732キロメートル離れたところにある検出器に向けて飛ばす実験を行ったところ、光よりも早く移動したらしいことを示す実験データが得られていたことを明らかにしました、
アインシュタインの特殊相対性理論によると、光の速度よりも早く移動できるものは存在しないことになっていて、今回の発見が真実であることを家訓されたならば、物理に関するあらゆる記述や、特殊相対性理論を元に想像していた時空間移動の想像図も大きく書き換えられることになります。
ニュートリノが732kmの移動に要した時間は2.43ミリ秒でした。この値は光速で移動するより60ナノ秒短いことが分かりました。自分自身の実験結果に疑念を持ち、かつ、誤りであって欲しいとさえ願った研究者らは、統計的な有意差を出すために1万5000回も計測を行い、物理学会において信頼に値するとされる誤り率を確認できたために発表に踏み切りました。
結果の解釈についてはイタリアの研究者らもお手上げの状態で、各国の研究機関に追試を要請すると共に、まもなく発表される論文で議論して欲しいと語っています。
日本ではT2Kでこの実験の追試を行うことが可能ですが、ニュートリノを打ち出すJ-PARKが震災の影響を受けており、直ちには対応できない様子です。ちなみに、T2KとはTokai
to Kamiokaの略で、茨城県那珂郡東海村のJ-PARC加速器で発射したニュートリノを295キロメートル離れた岐阜県飛騨市神岡町のスーパーカミオカンデで捉える素粒子実験のことです。
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