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このページはインターネット放送局くりらじが毎週放送している科学情報ネットラジオ番組「ヴォイニッチの科学書」の公式サイトです。放送内容の要旨や補足事項、訂正事項などを掲載しています。 ■翔泳社”ポッドキャスティング入門”でオススメ番組として紹介されました。 [バックナンバー] [この番組の担当は・・・] |
Chapter-110 オハイオ州立大学の研究チームは口論を毎日30分間する夫婦はストレスが原因で傷の治りが1日遅れることを発見しました。 結婚歴12年以上の夫婦に了承を得て研究目的で2回の入院をしてもらいました。入院時に、腕に小さな傷をつけその傷の治り具合の観察を行ったのですが、観察するにあたって、1回目の入院では毎日前向きな話題を仲良くしてもらい、 その2ヶ月後の2回目の入院では毎日感情が高ぶるような議論をしてもらいました。それぞれビデオに話し合いの様子を収録し、その様子を分析することによって夫婦らの仲の良さ、敵対関係を予測しました。 夫婦仲と傷の治り方の関係を調べた結果、仲の良い夫婦が仲良く話しをした場合の傷が治るために必要な日数を基準とすると、仲の良い夫婦でも口論をすると傷が治るのが1日遅れ、仲の悪い夫婦では2日の遅れがあったそうです。また、血液中の成分の分析を行った結果、仲の悪い夫婦では免疫を司る物質である IL-6 が 1.5倍に増えているケースもありました。 元々この研究は手術を受けた患者の予後を良くすることを目的として調査を行ったものです。この研究成果によると、ストレスを抱えている手術患者は術後の回復が悪いことが予測され、その結果、入院期間の延長や医療費の増加、感染症リスクの増加などにつながってしまうため、患者に精神的準備をさせる事などが重要であることを示唆しています。 (Medical Tribune 2006.3.30) [他人の顔色を見るために色覚が発達した] 人間は赤、青、緑に対応する細胞によって色を認識していますが、同様の3色型の色覚を持つ動物は非常に少数派です。3色型色覚が発達した理由は植物の紅葉を認識して季節を判断したり、果実の成熟を検出するために進化したというのが通説ですが、果実を食べる動物がすべて三色型の色覚を持っているわけではありません。人間を含む霊長類などのみが三色型の色覚を持つということは、この色覚が高度な社会生活と関連して進化した可能性もあります。 三色型色覚が敏感に反応するのは緑から赤にかけての領域と黄色から青にかけての領域でしたが、これはそれぞれ、血液中の酸素が多いときに現れる赤い顔色と血液の流れが速いときに現れる青い顔色に対応していました。 また、顔色を示すためには、顔面の皮膚が露出していなければならないことから、さまざまなサルで顔面皮膚の露出度と、色を識別する能力との相関を調べたところ、定性的にはそれらに相関がありそうな結果が得られました。これらの結果から、三色型先核の発達にはその動物の社会性が関わっている可能性もあることが示唆されました。 (科学 2006年5月号) 「最新科学おもしろ雑学帖」の関連ページ [エンディング・他局の科学番組放送予定] |